一人暮らしの高齢者にとって、コミュニケーションや運動不足は深刻な問題です(参照:高齢者の生活実態に関する調査より)。デイサービスや近所付き合い、そのほか家族が会いに来るなどさまざまな方法がありますが、ペットを飼ってみるのも良いでしょう。
ペットを飼うには、高齢者でも責任を持ってお世話が必要となります。しかし、愛情を注ぐ対象ができることで、コミュニケーション不足の解消にもつながるでしょう。
この記事では、一人暮らしの高齢者におすすめのペットを紹介しています。メリットやデメリットも併せて紹介するので、ぜひ検討してみてくださいね。
高齢者が飼いやすいペットおすすめ5選!一人暮らしOK
はじめに、一人暮らしの高齢者が飼いやすいペットを紹介していきます。お世話の頻度を含むメリットやデメリットも併せてまとめたのでぜひ目を通してください。
ハムスターやモルモット
ハムスターやモルモットは、ゲージに入れてお世話することがほとんどです。なので一見すると手軽に飼いやすい印象がありますが、ハムスターは夜行性なのでその点は理解が必要です。
ゲージやペットシーツ、エサなどの消耗品を含めると初期費用は15,000円程度、生体価格はハムスターなら1,000円~3,000円程度が相場、モルモットなら5,000円程度は見ておいた方が良いでしょう。
ペットを何も飼っていない状態からモルモットを飼う場合は、生体価格を含め初期費用は20,000円程度は見ておきましょう。毎月の消耗品は5,000円程度、複数匹飼うなら餌代が多少増えるかもしれません。
複数匹で飼うときは、繁殖することも想定しておきましょう。繁殖力が強いので繁殖させたくない人は単体飼育が必須となります。ハムスターやモルモットは、食事風景や運動する様子、寝姿まで愛らしいので、可愛らしい小動物系が好きな方におすすめです。
ウサギ
ウサギは、血統により生体価格が大きく異なり、純血種だと100,000円前後する場合があります。コンテストに参加し受賞歴がある個体の血統だと、200,000円以上もすることもあります。
一方、血統にこだわらずミックス種を飼うなら3,000円~10,000円程度から購入できますが、ハムスターから比べるとだいぶ高い印象です。
また、成体よりも子ウサギの値段が高く、大きくなるにつれて値段が下がり最悪1,000円程度まで下がることがあります。初期費用を抑えるために成体のウサギを飼うのも1つの方法ですが、その場合は長期間ペットショップに居てストレスがかかっている可能性もあるでしょう。
ウサギを飼うときは価格帯だけで判断せずに、血統やペットショップでの飼育期間なども考慮して考えましょう。
ウサギを飼育するゲージは10,000円程度、エサやペットシーツなどの消耗品は毎月5,000円程度と考えていて問題ありません。また、ウサギはデリケートな部分があり、病気を予防するために定期検診を受けることをおすすめします。定期検診は1回あたり1,000円~5,000円程度、数ヶ月から半年に1回受けるようになります。
初期費用は概ね15,000円~20,000円+生体価格となり、どんなウサギを飼うかで金額は変わってくるでしょう。加えて、ウサギは寿命が長く10年~15年はあると言われています。ウサギの寿命を全うできるまでお世話できるかも飼う判断基準に含めておきましょう。
インコ
インコは一般的なセキセイインコならホームセンターなどで1,000円台から飼うことができます。オカメインコなどのように大型種になると10,000円以上する場合もありますが、手乗りインコを飼うイメージなら比較的手軽に入手できます。
インコの住まいとなるゲージは5,000円程度から、エサや止まり木などは種類にもよりますが、セキセイインコなら1,000円程度もあれば十分でしょう。
インコを飼う上で注意したいのが鳴き声と臭いです。どのインコもある程度は鳴きますし、それを抑制することはインコの健康にもよくありません。そのため、近所から苦情が出ない程度に屋内で飼育するか、近所まで距離があるような住宅街で飼育することが望ましいです。
臭いについてはどのインコにも特有の臭いがあり、それが気になるようでは飼育には向きません。また、定期的に糞尿の交換が必要なことや寒い時期はヒーターで温めることも考えると、手軽に購入できるセキセイインコでも意外と手間がかかるといえるでしょう。
ですが、インコは人に懐いてくれるので屋内で手乗りインコにしたり、呼びかけると返事をするように鳴いてくれたりするのは嬉しいものです。一長一短なところはありますが、条件が合えば一人暮らしの高齢者のパートナーになるでしょう。
メダカ
メダカは近年、品種改良が進み種類やカラーによっては1匹100万円もする個体がいます。その一方で、小学校で飼育用として飼われていた緋色のメダカは江戸時代から存在しており、1匹100円未満で売買されるケースがほとんどです。購入する際は10匹単位、数十匹単位になることもあります。
野生種の黒メダカだと1匹100円前後、品種改良されてカラフルかつ美しいメダカほど高額になっていきます。
メダカを飼育する際の初期費用には、水槽・カルキ抜き・底砂・水草・エサ・水換え用品・エア・フィルターなど5,000円~10,000円程度はかかります。小さな水槽にするなら費用を抑えることはできますが、カルキ抜きや水草、水換え用品、エア、フィルターなどの消耗品は定期的な交換が必要です。
初夏のころから出回るメダカの飼育セットなどを購入すれば、2,000円程度から飼育することもできます。
一見すると手軽で安く飼育できるメダカでも、定期的な水換えや水草のケアは必要です。高齢者がある程度の量がある水槽を持ち歩けるか、落とすリスクはないかなど、不安要素はあります。
加えて、メダカとはコミュニケーションが取れないので、自己満足の状態で完結する可能性もあるでしょう。コミュニケーション不足の解消を目的としている場合は、メダカ以外のペットをおすすめします。
ネコ
ネコは日本でも古くから愛されてきたため、手軽に飼育できるイメージがあります。しかし、ネコにも血統があり、例えば、垂れ耳が愛らしいスコティッシュフォールドなら、10~50万円程度、短い脚が特徴的なマンチカンも同等程度の生体価格です。
ミックスの場合は値段はほぼないようなもので、ペットショップではあまり販売していません。ミックスは友人知人から譲ってもらう、捨て猫を拾うことでも入手できます。
初期費用を見ていくと、ゲージが10,000円程度、トイレと砂で3,000円程度、ベッド2,000円前後、爪とぎ1,000円前後、ブラシ1,000程度、そのほかおもちゃやフードなどがそれぞれ1,000円程度はかかります。概ね20,000円程度は見ておきましょう。
また、遊び場としてキャットタワーを設置するなら10,000円からの費用も見積もっておきましょう。その他の費用としては予防接種や避妊・去勢手術、トリミングなどが挙げられます。具体的な金額は動物病院や施設により異なるものの、必要に応じてお金がかかることは理解しておきましょう。
ネコは人に懐き甘えてくれるので、コミュニケーションが取りやすく高齢者のペットにはおすすめです。ただ、屋内のみで飼育することを前提としているため、窓や玄関から逃げられないよう注意が必要になるでしょう。
また、メダカやハムスターなどに比べて費用が高く、毎日のお世話が必要です。その点も理解した上で飼いましょう。
犬は高齢者が飼ったらダメ?おすすめしない理由
一人暮らしの高齢者向けペットを紹介しましたが、犬はあまりおすすめできません。一見すると犬が1番良いように思う方もいると思いますが、実際は飼い主の負担が大きくあまり向いていないのです。ここでは、犬が高齢者のペットに向かない理由をお伝えしていきます。
犬のお世話は高齢者に負担が大きい(肉体的、金銭的ともに)
犬のお世話は、散歩をはじめエサ代など意外と負担が大きいです。犬種にもよりますが、散歩は毎日しますし、室内犬にしたとしてもそれなりの運動が必要となるでしょう。
また、予防接種、トリミングなども含めると最も費用がかかるペットともいえます。
万が一自身に何かあった際(入院、怪我など)の預け先(頼る場所)がない
飼い主が入院や怪我をしたとき、犬を預けるところは身内やペットショップ、場合によっては動物病院となります。どうしても飼えなくなったときは保健所や動物の保護施設などを頼るようになります。
万が一、飼い主が飼えなくなった、お世話ができなくなったときのことを考えると、犬はあまりおすすめできないといえます。
それでも飼う際は高齢者が飼いやすい犬を選ぼう
犬を飼うリスクを踏まえ、それでも犬がいい!という方は、自分が飼いやすい犬を飼うことをおすすめします。自分が責任を持てる範囲の犬種、支払える範囲のケアを考えて選びましょう。
高齢者がペットを飼う際の注意点
一人暮らしの高齢者がペットを飼う際は、いくつか注意しておきたいことがあります。ここでは、どんなペットを飼うとしても気をつけたい注意点を紹介するので、ぜひ目を通してくださいね。
ペットの寿命を考慮した選択を!
ペットにはそれぞれ寿命があります。犬やネコは10年前後、メダカは飼育環境にもよりますが1~5年程度です。ペットが寿命を迎えることは仕方のないことでも、ペットロスになる可能性も考慮して種類を選ぶことをおすすめします。
ペットのお世話が難しくなったときの引き受け先を決めておく
ペットのお世話ができない、飼育できなくなったなど、飼い主に万が一のことがあった際のペットの引取先は事前に決めておきましょう。
ペットだから捨てれば良い、放置していても良いという考えでは、動物愛護法に抵触する恐れもあるからです。
そのため、自分になにかあったときのことを考えて、ペットの引受先を確保しておいてください。
高齢者がペットを飼うべきおすすめのメリット
一人暮らしの高齢者がペットを飼うことには複数のメリットがあります。ここではどんなメリットがあるのかチェックしていきましょう。
記憶力をはじめとした認知機能の維持につながる
ペットを飼うと定期的にお世話をしたり、声をかけたり、抱っこするなどコミュニケーションの機会が増えます。その結果、記憶力をはじめ認知機能の維持が期待できます。
エサをあげたかどうか、ペットシーツを交換したか、水を変えたかなど、飼い主自身が管理することが増えることも影響しているでしょう。
手をかけるペットがいるというだけで、老化を和らげることが期待できます。
運動不足の予防
ペットのお世話をするには、飼い主が率先して動かなければなりません。そのため、室内のみであったとしても動く機会が増えて、ペットを迎える前よりは運動不足を解消できます。
また、犬など散歩が必要なペットを飼えば、毎日散歩に行くのが日課です。そうなれば毎日定期的な運動ができるのでより一層の運動効果が期待できるでしょう。
コミュニケーション不足の解消
どのようなペットを飼うとしても、お世話をする際に声をかけたり撫でたりと愛情を注ぐようになります。その結果、コミュニケーション不足の解消が期待できます。
また、ペットの消耗品を購入する際に、ホームセンターやペットショップに行けば、スタッフと会話をする機会も増えます。ペットを優先した環境を作るために、新しい消耗品について質問する、使い方などを教えてもらうなど、ペットに関わる人とのコミュニケーションも増えるでしょう。
まとめ
今回は、一人暮らしの高齢者向けのペットを紹介しました。ペットがいる生活は、コミュニケーションの機会を増やし、運動不足の解消も期待できます。また、ペットに愛情を注ぐことで老化を和らげる効果も期待できるでしょう。
ハムスターやモルモット、メダカやインコ、ウサギ、ネコなど屋内で飼育できる種類がおすすめですが、毎日の散歩が苦にならないなら犬もおすすめです。
ペットが寿命を迎えるまで責任を持って飼育できる範囲を考え、また、自身が飼育できなくなったときのことも事前に準備して飼うことをおすすめします。
ペットが欲しくなった方は、さっそく自分に合うペットを検討してみませんか。